弾かれて、鳴る
となりで鍵盤と戯れていた指が俺の指に絡まった。
瞬間、俺の視界はぐるりと回り見慣れた部屋の天井が見える。背中に当たる椅子が硬くて痛い。
「なあ、シャマル!」
話し掛けたのは俺。
「久し振りに連弾しよーぜ」
誘ったのも俺。
俺の顔はちらりと見るだけだったけど、ああ、と短く返された。
その時からこうなることがわかっていたのか、こうなりたかったのか。
啄ばむように額、鼻、頬、顎と上から下へ口唇が降ってくる。ぎゅっと閉じた瞼にも口唇にも。擽ったい感触に思わず声が漏れ、薄く開くと直様舌が割り込んでくる。口付けたまま布越しにいちばん敏感な部分を摩られたら高い声が出た。
「あ、」
強く弄られるとまた高い声が出た、何度も。
いつの間にか外気に晒された中に少し湿ったシャマルの指が入ってくる。入り口のところを執拗に攻められ、さっきよりも声がでかくなる。
全身の力が抜ける。半開きに空いた口からは絶えず声が漏れる。
身体を支えようと伸ばし、手を付くと派手な音が鳴った。バランスが崩れた。
硬く軋む椅子から雪崩れ落ち、今度は無機質な冷たい床が背中に当たってやっぱり、痛い。
「…っう、ああ!」
「大丈夫か」
「へ、き…それより」
頭や背中をを打ったことより。それより、シャマルの指が深く当たってるのが、きもちいい。
「やめ、んな」
少し驚くように瞳を見開いたあと、ははは、と笑ってきれいなほうの手で俺の頭をくしゅっと撫でる。
「随分素直になったもんだな」
「…んああ、」
指が二本、三本と増え、拡げる。俺の鼻にかかったような甘い声が反響して一層強く聞こえる。ああ、反吐が出る。
不図、瞳を開くと水の膜の所為で霞んでいた。霞む視界に入ってきたのは先程まで旋律を奏でていたピアノ。放射状に延びた黒い樹と茶色の板。樹木もこんな綺麗な音が出るんだ、だから俺もあんな声が出ちまうんだ。全部ピアノの所為なんだ、ぜんぶ。
カヲリとの約束のピアノの下えっち。
久し振りに書いたから調子掴めない…ピアノは綱吉さんでも企画があるので頑張りたいです。
20081221 myogaAyuco.